弁護士に依頼した方が得?交通事故でもらえる慰謝料の話

2020/02/14

交通事故でもらえる「慰謝料」ってなに?

むちうちなら「慰謝料」はいくらもらえる?

加害者側からお金を多くもらうには?

このページをご覧のあなたは、このようなことでお悩みではありませんか?

多くの方にとって、「交通事故に遭う」というのはストレスの大きい出来事です。
肉体的・精神的に辛い思いをしたのだから、せめて金銭的には十分に補償を受けたいところですよね。
このページでは、慰謝料など「交通事故で得られるお金」について解説しています。

交通事故でもらえる「慰謝料」とは

「交通事故に遭ったら慰謝料を受け取ることができる」
このような話を聞いたことのある方も多いのではないでしょうか。

でも、「慰謝料」ってそもそも一体何なのでしょうか。
まずは「慰謝料」の定義について、一緒に見ていきましょう。

慰謝料とは、「交通事故などの他人の不法行為によって被った精神的苦痛を緩和・除去するための金銭的補償のこと」です。

交通事故で発生する慰謝料には、大きく分けて以下の3種類があります。

①傷害慰謝料
②後遺障害慰謝料
③死亡慰謝料

「傷害慰謝料」は、交通事故によるケガによって味わった精神的苦痛を金銭的に評価して、お金が支払われるものです。
これに対し、「後遺障害慰謝料」は、後遺障害によって生じた精神的苦痛に対して支払われます。
そして、「死亡慰謝料」は死亡事故があったときに、死亡した被害者や遺族が被った精神的苦痛に対して支払われるものです。

この記事では、交通事故に遭われた方の多くに関わりのある「傷害慰謝料」について詳しく解説していきます。

慰謝料算定の3つの基準とその計算方法

先ほど、「慰謝料」とは精神的苦痛に対して支払われるものだとお話ししました。
でも、交通事故により受けた苦しみは、人によって感じ方もマチマチです。
それでは、慰謝料の金額はどのようにして決まるのでしょうか。

実は、慰謝料の算定には3つの基準があります。

①自賠責基準
②任意保険基準
③弁護士基準

上記3つのうちいずれの基準を採用するかによって、慰謝料の金額が大きく異なります。
一般的には、①自賠責基準<②任意保険基準<③弁護士基準、の順番に金額が大きくなります。

 

3つの基準で、慰謝料の金額はどれくらい変わるんでしょうか。

良い質問ですね。事例を見ながら、それぞれの金額を見ていきましょう。

①自賠責基準

1つ目の慰謝料計算基準は、「自賠責基準」というものです。

これは、自賠責保険へ支払いを請求した際に用いられる基準のことです。

自賠責保険は法律により加入が義務付けられており、重大な過失がない限りは減額もされません。
そのため、一般的な自動車の事故であれば最低でもこのラインの補償は受けられると考えて良いでしょう。

 

自賠責基準においては、「傷害慰謝料」は【治療日数1日につき4,200円】が支払われます。
なお、傷害慰謝料の対象となる日数は、以下のいずれか少ないほうを採用します。

①実際に治療のために通院した日数(実治療日数)×2
②治療開始日~終了日までの日数(治療期間)

 

一つ、具体例を見てみましょう。

 


<事例>
交通事故に遭ったAさんはむちうち症と診断され、完治するまで全部で30日間、医療機関に通院した。(他覚症状はなし)
なお、Aさんは毎日通院していたわけではなく、治療開始から終了までは100日かかった。


 

この場合、実際に治療のために通院した日数は30日、治療開始日~終了日までの日数は100日ということになります。

計算すると、①実治療日数をもとに算定した30日×2=60日 の方が、②実治療日数100日 よりも少なくなりますので、対象となる日数は「60日」と判断されます。

自賠責基準において傷害慰謝料は1日につき4,200円支払われますから、今回のケースでは4,200円×60日=252,000円受け取れるということです。

 

②任意保険基準

任意保険基準とは、保険会社が独自に定めている基準のことです。
加害者が任意保険に加入しており、被害者が加害者側の保険会社と交渉をする場合、慰謝料はこの基準で計算されます。

具体的な算定基準は明らかにされていませんが、大抵の場合、自賠責基準よりも少し高い金額になることが多いようです。

 

加害者が任意保険に入っている場合は、必ず任意保険基準が適用されるのですか?

加害者が任意保険を使いたくないと主張した場合などに、自賠責基準が使われるケースもあります。 また、弁護士に依頼した場合は、弁護士基準の金額で慰謝料の交渉ができるようになります。

③弁護士基準

弁護士基準とは、過去の裁判例などを元に導き出された算出基準で、3つの基準の中では最も高額です。

この基準で算定された慰謝料を請求するためには、加害者側との交渉を弁護士に依頼する必要があります。

弁護士基準においては、以下の「入通院慰謝料算定表」という表が用いられます。

 

 

この算定表は弁護士基準に基づいて作成されたもので、原則は上の「重傷の慰謝料算定表」を用います。

また、軽傷やむちうち症の場合は下の「軽傷・むちうちの慰謝料算定表」をもとに慰謝料が算出されます。

先ほど自賠責基準の項目で挙げた事例を、今度は弁護士基準で計算してみましょう。

 


<事例>
交通事故に遭ったAさんはむちうち症と診断され、完治するまで全部で30日間、医療機関に通院した。(他覚症状はなし)
なお、Aさんは毎日通院していたわけではなく、治療開始から終了までは100日かかった。


 

Aさんは他覚症状のないむちうち症にあたるので、このケースでは「軽傷者・むちうち症の慰謝料算定表」を使うことになります。

100日間は、1か月単位(30日扱い)で計算すると、「3ヵ月と10日」です。
慰謝料の金額を求めるには3ヵ月分の金額に、残り10日分の金額を日割り計算したものを足せば良いので、以下のような計算式になります。

①3ヵ月間通院した場合の慰謝料金額は、53万
②4ヵ月目の10日分の計算式は、(67-53)÷30日×10日分=46,666円

→①と②を合計した576,666円が慰謝料金額となります。

 

自賠責基準での算出金額は252,000円だったのに対し、弁護士基準ではその倍以上の金額が算出されました。

もちろん、上記の計算方法は一例に過ぎず、すべての被害者の方に当てはまるわけではありませんし、事故の内容によっては特殊な計算方法が必要となるケースもあります。

しかし、この結果から、弁護士に依頼したほうが高い慰謝料を受け取れる可能性が高くなることがお分かりいただけると思います。

 

自賠責基準と弁護士基準で、こんなに差があるんですね!驚きです。

すごいでしょう?ちなみに、任意保険基準も自賠責基準に近い金額になると言われているので、弁護士基準と比較すると大きな差が出ることが多いですよ。

慰謝料はいつ請求できる?

ここまで、慰謝料の算定基準と方法について解説しました。
次に、慰謝料の請求時期についてご説明します。

 

交通事故に遭って辛い思いをしたのだから、事故後すぐにでも慰謝料を請求したいところですが…請求時期について何か決まりがあるのですか?

慰謝料の計算には治療期間や通院日数が関わってきます。そのため、慰謝料の請求ができるようになるのは一通りの治療が終わった後ということになります。

傷害慰謝料は、ケガが完治した、もしくは症状が固定した時点で算定できるようになります。
「症状が固定した時点」とは、治療を続けても大幅な改善が見込めなくなったと判断された時点のことです。
つまり、一般的には入通院が終わった時に、加害者側の保険会社への請求が可能になるということです。

なお、ケガが完治せず後遺症が残ったという場合には、傷害慰謝料に加え「後遺障害慰謝料」も請求することができます。
このようなケースでは、後遺障害等級認定の結果が出た時に、慰謝料の請求をすることになります。

慰謝料が増額されるケース

ちなみに、加害者側の態度が悪かった場合などに、慰謝料を増額してもらうことはできますか?

基本的には、そのようなことで慰謝料の金額が増えることはありません。しかし、事故の内容によっては、増額が認められるケースもあります。

慰謝料は、入通院期間を基礎として算定されるのが原則です。
したがって、「加害者から謝罪がない」「保険会社の担当者の対応が悪い」というような理由では慰謝料は増額されません。

しかし、以下のような場合には、傷害慰謝料が増額されたケースもあります。

 

<1.被害者が深刻な傷を負った場合>
ケガをした箇所やその程度から、重篤なケースだと判断された場合には、慰謝料が増額されることがあるようです。
例えば、頭部を激しく負傷した場合などがこれに該当します。

<2.加害者に故意もしくは重過失がある場合>
加害者が故意に事故を起こしたケースでは、慰謝料が増額される可能性があります。
また、飲酒運転や無免許運転、ひき逃げなどの重過失がある場合も、慰謝料が増えることがあるようです。

<3.著しく不誠実な態度がある場合>
虚偽の供述を繰り返すなど、加害者の対応に誠実さが見られない事例では慰謝料が増額されることがあります。
ただし、増額が認められるのは加害者の態度が「著しく」不誠実な場合のみなので、「謝罪がなかった」「お見舞いに来なかった」といったケースはこれには該当しません。

慰謝料の請求で損をしないために

ここまで、交通事故に遭った際に受け取ることができる「慰謝料」の算定基準や計算方法、請求時期などについて解説しました。

3つの算定基準のうち、どれを採用するかによって慰謝料の金額が大きく変わるということが判明し、「今後、保険会社に言われるがままに慰謝料の交渉に入っても良いものだろうか」とお悩みの方もいらっしゃると思います。

もちろん、自賠責基準や任意保険基準でも最低限の補償はしてもらえるので、それも一つの選択肢です。
しかし、それらの基準と弁護士基準とでは金額に大きな差が出ることが多いので、一度、知識の豊富な弁護士に相談してみるのも良いかもしれません。

保険会社負担で弁護士に依頼できるケースも

慰謝料を多くもらえる可能性があるなら、ぜひ弁護士に相談したい。でも、そうすると多額の費用がかかってしまいますよね?

弁護士に仕事を任せると、費用が発生するのは事実です。でも、加入している保険の内容によっては、自分でお金を出さなくて済むかもしれません。

実は、保険会社の特約に「弁護士費用等補償特約」というものがあります。

この特約を使うことができれば、弁護士費用や実費を保険会社に一定限度(通常は300万円まで)負担してもらうことができます。
ケースによっては、自己負担なしで済むこともあるようです。

なお、この特約を使うには、加害者側ではなく被害者ご自身が加入している保険に「弁護士費用等補償特約」という特約がついている必要があります。
また、特約の内容は保険会社によって異なりますので、利用する際には必ず自分の保険会社に確認するようにしてください。

 

弁護士費用等補償特約を使うと、加入している保険の等級は下がりますか?

特約を利用したとしても、等級がダウンすることはありません。安心して使ってください。

「弁護士に依頼」と聞くと少しハードルが高いと感じてしまうかもしれません。
でも、弁護士は、被害者の立場になって交通事故の解決を促してくれる、心強い味方です。
さらに、弁護士に依頼すれば加害者側との示談交渉を一任できるというメリットもあります。

 

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